亡国の兄弟王子が奴隷に売られて商人達の前でのプレイを強要されるシチュ
花と歌の港と呼ばれていた。
海に面していた母国は貿易が盛んで、
質の良い銀を産出する銀山があった為小さいながらに豊かで
国民の信頼を得た王に統治され隣国から強力な軍隊によって護られ、
母国に生を受けた者は野良犬の一匹に至るまで不自由のない
生活を送れる事が約束されていた。
軍部が寝返るまでは。
クーデターを計画した軍部は隣接する三つの国と手を組み
王家から権力の奪回を目論んだ。
しかし土壇場に隣国に裏切られ、軍の上層部は死罪となった。
後ろ楯を失った母国は三国によって引き裂かれ、
王は死罪、王妃は幽閉され、ここに小さく平和なおとぎ話に出て来るような
楽園王国の歴史は幕を閉じた。
キャラバンは砂漠を越えて旅する。
商人達が取り扱う品は宝飾品、絹織物、そして何より、奴隷。
奴隷は若ければ若い程高く売れる。
洗脳しやすく、長い期間使えるからだ。
鎖に繋がれた7、8人の中でも一段と小柄な2人がいた。
彼らが元王子である事を知る者はいない。
処刑は免れたものの兄弟揃って売られ、明日をも知れぬ身と成り果てた。
照り付ける日射しの中兄王子が弟を気遣って庇うように日陰を作ってやる。
弟王子もそれを知って、辛い顔を隠してニッコリ笑う。
2人の黒い髪は日射しを吸って熱く煮える。
少しでも涼しくしようとボロ布を頭から被り、
俯いて歩く足取りは病人の様に覚束無い。
16歳と兄王子はともかく弟王子は12歳。
子供の体力には過酷なキャラバンはまだ続く。
「兄様」
夜皆が寝静まった後が2人だけの時間だ。
「大丈夫か?足は浮腫んでいないか?」
兄王子が弟の両足をさする。
「平気です。兄様こそ」
健気な様子がいじらしい。
「私は大丈夫だ。もう休みなさい。明日もかなり歩くようだから」
身を寄せる弟を両手に抱き締めて眠る。
それから7日後、キャラバンは漸く砂漠を越え都に辿り着いた。
隊長が朝市の商人達と話を付け、荷の半分と4人の奴隷とが売られた。
その内2人が兄弟王子だった。
「お止め下さい!焼き鏝だけはお許し下さい!」
兄王子の悲痛な叫びが響く。その胸は既にはだけられ
鎖骨の下には赤黒い痛々しい奴隷印が捺されていた。
今、両脇を押さえられ、同じ焼き印を捺されようとしているのは弟王子。
兄王子はそれを何とかして阻止しようとしていた。
「お前達は未だ自分の身分が分かっていないようだな。
それだけ顔が良ければ、大方生まれた国では愛奴として
可愛がられていたのだろうが、この国には奴隷印の無い奴隷はいない」
商人頭が鏝の焼け具合を確認する。
「子供には辛いだろうがな。それがお前達の運命と思うがいい」
「お許し下さい!私は構いませんから弟だけは・・・!」
弟が涙に潤んだ瞳で兄を見詰める。
兄を庇いたいのだが舌を噛まないように猿轡をされていて口がきけない。
そんな兄弟の様子を無視しようとしていた商人頭に
居並ぶ商人の1人が耳打ちした。
聞いていた商人頭が好色そうな笑いを浮かべる。
「お前、これに印は不要と言うのか?」
先程までとは違う声の調子に兄王子は戸惑って床に擦り付けていた頭を上げる。
商人頭の目がギラついていた。
「奴隷には必ず奴隷印を捺すのがこの国の掟だ。
この子供が奴隷でないと言うのなら、これはお前の何だ?」
「弟でございます。たった1人の、血を分けた」
「それならば兄弟揃って奴隷と成るのが当然だろう」
「それだけはお許し下さい。私が奴隷とされるのは構いません」
「お前の弟が奴隷でないと言うからには理由がある筈。
奴隷には印を捺す。兄弟だろうが、親子だろうが、1人1人に。
しかし、奴隷の持ち物にまで印は捺さない。これはお前の持ち物という事か?」
兄王子は最初商人頭の言う事が飲み込めなかった。
「これは奴隷ではなく、お前の持ち物か?
そうだと言うなら奴隷印は捺さないでやろう」
しかし唐突に意味を理解し、屈辱に顔を歪める。
何よりも愛する弟王子を人間扱いされない奴隷より更に下に置けと言うのだ。
弟王子を見ると悲しみに満ちた目が見詰めていた。
──兄様。私は大丈夫ですから。
──奴隷印ごときで私達が穢される事はありません。
──こんな奴等の言うなりにならないで下さい。
しかし兄王子は負けた。
弟の白い肌に傷を残す事は堪えられなかったのだ。
「それは、私の持ち物でございます。
どうぞ、奴隷印はお許しを給いたく・・・!」
「いいだろう」
商人頭の言葉に弟王子を押さえ付けていた男達が手を離した。
ふらつく弟王子を兄王子が支える。
猿轡を解くと弟王子が堰を切ったように泣き出した。
「兄様、兄様!」
抱き合う兄弟を冷たい目が囲む。商人頭が言った。
「それがお前の持ち物だと言うのなら証明して貰おう」
抵抗する暇も無く兄弟王子は広間に連れ出された。
何ヶ月振りかに敷物を敷いた床に投げ出される。
キャラバンでは地べたに眠り、商人に売られてからは石の床だったのだ。
周りを商人達が取り囲む。
兄王子が弟王子を庇って抱き締める。
「もう一度だけ聞いてやる。お前は奴隷でそれは奴隷ではない。
それはお前の持ち物だ。間違いはないな?」
「その通りでございます」
「兄様!違います!私達を2人共奴隷として扱って下さいませ!」
「この者の申します事はお聞きにならないで下さい。
自分が何を言っているのか分かっていないのです」
抗議の声を上げる弟王子を見ないで兄王子は商人達に言った。
商人頭がニヤニヤ笑って問う。
「我々はどちらでも良いのだぞ。お前達はどちらも綺麗な顔をしているから
高く売れるだろう。2人一緒とは行かぬがな」
「奴隷は私だけでございます」
「違います!兄様!」
「黙れ!」
今まで聞いた事がない兄王子の大声に弟王子は竦み上がった。
「お前は奴隷がどういう物か全く分かっていないのだ!
2人共に買われる保証などどこにも無いのだぞ!」
弟王子は言葉も無い。
「お前は私と離れて、どことも知れない土地で生きて行けると言うのか!
それが出来ないのなら軽々しく『奴隷』等と口にするではない!」
凛とした口調に商人頭が目を見張る。
「お前、顔立ちに品があると思ったが。もしや遠国の貴族の子か?
海の近くには黒耀石の髪に翡翠の瞳の民が住むと言うが」
兄王子は答えない。王族であるなど知られればただでは済まない。
弟だけでも生き延びさせるには不用意な発言をする訳に行かなかった。
黙りこくる兄王子に商人頭はニヤッと下品な笑みを見せた。
「まあいい。いい家に生まれたとしても今のお前達に出来るのは
不運を嘆く事だけだからな。贅沢な生活には戻れないと思え」
贅沢どころではない。彼らの国は既に亡いのだ。
兄王子が唇を噛んだのをどう思ったのか、商人頭は愉快そうに笑った。
「とっとと新しい生活に慣れた方が身の為だぞ」
兄王子は答えない。
「ふん。まあいい。ところでその子供は奴隷では無く、
お前の持ち物という事でいいのだな?」
「然様でございます」
「お前はその子供を何の為に侍らせているのだ?」
「・・・?」
「見た所力仕事も出来まい。そのような顔が良いだけの子供が
何の役に立つと言うのだ?」
兄王子は商人達の計略に陥った事を知った。
兄弟が離れ離れにならない為に偽らなければならない関係を知った。
「これは、・・・私の、玩弄物でございます」
「それなら証明して見ろ。今ここで」
商人達の見守る中兄王子は弟王子に近付いた。
いつもは優しく抱き締める腕で弟王子の衣服を剥ぎ取る。
「兄様」
「黙っていろ。すぐに済む」
目を合わせないままの兄王子に弟王子が身を捩って逃げようとする。
その抵抗を許さないで兄王子は弟王子の顔を捕らえて口付ける。
いつもの家族のキスではない、乱暴なキス。
弟王子が腕を振り上げるが殴る勇気は出せない。
キスを首筋に移しながら腕を掴んで後ろに回し、脱がせた衣服で縛り上げる。
「貴族共が腐っていると言うのは本当の話らしいな」
「兄弟でこんな事をしているとはな」
商人達の嘲りの声を聞かないように弟王子の身体を弄る。
何より愛する弟に聞かせたく無くて。
「兄様、許して・・・いや!」
怯えた小鳥のように身を震わせて首を降り続ける弟王子の涙を
舌で嘗め取る。
細い腕が僅かに日に焼けていた。幸せだった頃はミルク色だった肌が
何ヶ月も炎天下のキャラバンで色付き、衣服に隠れている所との
境目をクッキリ浮き立たせていた。
その境目に舌を這わせる。まるで焼けた肌の色さえも
拭い取ろうとするように。
「いや、やぁ、兄様あ、あんっ!」
伸びかけた髪を掬い首筋から耳を嬲ると、
覚えのない感触に弟王子が戦く。
「ほう」
「良い声で鳴く」
「なる程奴隷風情には勿体無い玩弄物だな」
愚弄の言葉を聞かないように兄王子は弟王子の身体に
没頭しようとする。未熟な性感を煽って弟王子が身体の快感に
溺れて何も聴こえなくなるように。
彼らを取り巻く蔑の目が見えなくなるように。
商人達の中から嘲る言葉が投げられる。
「床を汚すなよ」
「それでは何か、敷く物を・・・」
「奴隷の分際で贅沢を言うな。お前が全部嘗めてやればいいだろう」
それ以上言うのを諦めて兄王子は弟王子を床に横たえた。
胸を弄り腹を嘗め、弟王子の息が荒くなったのを見計らって
細い膝を割り開いた。
「いや、いやあああ!」
驚愕に悲鳴が上がる。
開かれた足の間に、未だ子供の姿の性器が縮こまっている。
王族は12歳で成人の儀式をして割礼を受けるのだが、
国が滅ぼされた時弟王子は11歳だった。
キャラバンと旅している最中に12歳になったが祝う国民はおろか
成人の儀式を何一つしてやれなかった。
太股の内側にキスをするとピクンと震える。
弟王子が身じろぐ度に体臭が兄王子の鼻を付く。
嫌悪感は湧かない。それより風呂にも入らせてやれない身の上が憐れで
兄王子は自らの舌で弟を浄めるように体中に口付けを送る。
はあはあと荒い息遣い。弟王子の肌が淡く染まり、汗が伝う。
それもくすぐったいのか喘ぎが徐々に甘く色を変えて行く。
いつしか、商人達も息を飲んで2人の子供が絡み合う様を見詰めていた。
「兄様、もうやめて・・・痛!」
兄王子が弟の性器を握り、皮を剥き下ろした。
ビクッと硬直する弟王子に構わず、そのまま銜えて嘗めずる。
「ああ、いや、いや、あ、あん、あああ・・・」
泣き過ぎて掠れた声で弟王子は尚も哀願する。
衝撃で舌を噛まないように、弟の口に指を入れ、
兄王子は容赦無く弟を追い上げる。
声も枯れ、息遣いだけで限界を伝える弟王子の目はもう何も見ていない。
彼らを囲む好色な目も何も見えていない。
囁き交わす声も聞こえていない。
あるのはただ、血を分けた兄から与えられる、苦しい程の快感。
「っは・・・っっ!」
ビクン、ビクンと腰が跳ねる。兄王子が顔を離すより早く
弟王子が口の中に射精した。
「ぐ、っ」
「出すなよ」
冷徹な声が飛んだ。商人頭が兄弟を見下ろしていた。
「一滴でも床に零して見ろ。お前達2人共気を失うまで
棒で打つからな」
「半分飲ませてやれ。折角だからな」
兄王子が青ざめる。しかし反抗できず、まだ息を整えられない弟に
唇を合わせ、己が出した物を分け与えた。
「ちゃんと飲めよ」
野次が飛ぶ。弟王子は抵抗を忘れた人形のように、
飲ませ終わった後も兄王子の舌に吸い付いてチュウチュウと
音を立てて吸う。混乱して赤子に返ったかのようだ。
泣きたくなるのを堪えて抱いていると、フッと目の焦点が合った。
「あ・・・兄様」
突然弟王子の身体が硬直した。
「あ、いや・・・だめ、兄様、だめ・・・」
弟王子が狼狽したように性器を握り締めて身体を丸めた。
先刻までとは違う様子を訝しむ兄王子に
弟王子が消え入りそうな声で言う。
「だめ・・・出ちゃ・・・」
言葉の意味を理解した瞬間兄王子は弟の手を払い除けて
震える性器を銜えていた。
「いや、兄様、いや・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい」
兄王子の口の中でチョロチョロと尿が漏れ出す。
絶頂を極めた直後なので勢いはなかったが、
その分いつまでも長く続く排尿だった。
「は!変態もいいところだ!」
「全くだ。どっちがどっちの玩弄物か分からないな、これじゃ」
商人達の声が遠くに聞こえる。
それよりも、零してはいけない。弟を棒で打たせてはいけない、
それだけを思って兄王子は全てを飲み干した。
目尻に涙を浮かべながら飲み下していた。
そんな兄の姿を網膜に写しながら、弟もまた涙を流し続けていた。
海に面していた母国は貿易が盛んで、
質の良い銀を産出する銀山があった為小さいながらに豊かで
国民の信頼を得た王に統治され隣国から強力な軍隊によって護られ、
母国に生を受けた者は野良犬の一匹に至るまで不自由のない
生活を送れる事が約束されていた。
軍部が寝返るまでは。
クーデターを計画した軍部は隣接する三つの国と手を組み
王家から権力の奪回を目論んだ。
しかし土壇場に隣国に裏切られ、軍の上層部は死罪となった。
後ろ楯を失った母国は三国によって引き裂かれ、
王は死罪、王妃は幽閉され、ここに小さく平和なおとぎ話に出て来るような
楽園王国の歴史は幕を閉じた。
キャラバンは砂漠を越えて旅する。
商人達が取り扱う品は宝飾品、絹織物、そして何より、奴隷。
奴隷は若ければ若い程高く売れる。
洗脳しやすく、長い期間使えるからだ。
鎖に繋がれた7、8人の中でも一段と小柄な2人がいた。
彼らが元王子である事を知る者はいない。
処刑は免れたものの兄弟揃って売られ、明日をも知れぬ身と成り果てた。
照り付ける日射しの中兄王子が弟を気遣って庇うように日陰を作ってやる。
弟王子もそれを知って、辛い顔を隠してニッコリ笑う。
2人の黒い髪は日射しを吸って熱く煮える。
少しでも涼しくしようとボロ布を頭から被り、
俯いて歩く足取りは病人の様に覚束無い。
16歳と兄王子はともかく弟王子は12歳。
子供の体力には過酷なキャラバンはまだ続く。
「兄様」
夜皆が寝静まった後が2人だけの時間だ。
「大丈夫か?足は浮腫んでいないか?」
兄王子が弟の両足をさする。
「平気です。兄様こそ」
健気な様子がいじらしい。
「私は大丈夫だ。もう休みなさい。明日もかなり歩くようだから」
身を寄せる弟を両手に抱き締めて眠る。
それから7日後、キャラバンは漸く砂漠を越え都に辿り着いた。
隊長が朝市の商人達と話を付け、荷の半分と4人の奴隷とが売られた。
その内2人が兄弟王子だった。
「お止め下さい!焼き鏝だけはお許し下さい!」
兄王子の悲痛な叫びが響く。その胸は既にはだけられ
鎖骨の下には赤黒い痛々しい奴隷印が捺されていた。
今、両脇を押さえられ、同じ焼き印を捺されようとしているのは弟王子。
兄王子はそれを何とかして阻止しようとしていた。
「お前達は未だ自分の身分が分かっていないようだな。
それだけ顔が良ければ、大方生まれた国では愛奴として
可愛がられていたのだろうが、この国には奴隷印の無い奴隷はいない」
商人頭が鏝の焼け具合を確認する。
「子供には辛いだろうがな。それがお前達の運命と思うがいい」
「お許し下さい!私は構いませんから弟だけは・・・!」
弟が涙に潤んだ瞳で兄を見詰める。
兄を庇いたいのだが舌を噛まないように猿轡をされていて口がきけない。
そんな兄弟の様子を無視しようとしていた商人頭に
居並ぶ商人の1人が耳打ちした。
聞いていた商人頭が好色そうな笑いを浮かべる。
「お前、これに印は不要と言うのか?」
先程までとは違う声の調子に兄王子は戸惑って床に擦り付けていた頭を上げる。
商人頭の目がギラついていた。
「奴隷には必ず奴隷印を捺すのがこの国の掟だ。
この子供が奴隷でないと言うのなら、これはお前の何だ?」
「弟でございます。たった1人の、血を分けた」
「それならば兄弟揃って奴隷と成るのが当然だろう」
「それだけはお許し下さい。私が奴隷とされるのは構いません」
「お前の弟が奴隷でないと言うからには理由がある筈。
奴隷には印を捺す。兄弟だろうが、親子だろうが、1人1人に。
しかし、奴隷の持ち物にまで印は捺さない。これはお前の持ち物という事か?」
兄王子は最初商人頭の言う事が飲み込めなかった。
「これは奴隷ではなく、お前の持ち物か?
そうだと言うなら奴隷印は捺さないでやろう」
しかし唐突に意味を理解し、屈辱に顔を歪める。
何よりも愛する弟王子を人間扱いされない奴隷より更に下に置けと言うのだ。
弟王子を見ると悲しみに満ちた目が見詰めていた。
──兄様。私は大丈夫ですから。
──奴隷印ごときで私達が穢される事はありません。
──こんな奴等の言うなりにならないで下さい。
しかし兄王子は負けた。
弟の白い肌に傷を残す事は堪えられなかったのだ。
「それは、私の持ち物でございます。
どうぞ、奴隷印はお許しを給いたく・・・!」
「いいだろう」
商人頭の言葉に弟王子を押さえ付けていた男達が手を離した。
ふらつく弟王子を兄王子が支える。
猿轡を解くと弟王子が堰を切ったように泣き出した。
「兄様、兄様!」
抱き合う兄弟を冷たい目が囲む。商人頭が言った。
「それがお前の持ち物だと言うのなら証明して貰おう」
抵抗する暇も無く兄弟王子は広間に連れ出された。
何ヶ月振りかに敷物を敷いた床に投げ出される。
キャラバンでは地べたに眠り、商人に売られてからは石の床だったのだ。
周りを商人達が取り囲む。
兄王子が弟王子を庇って抱き締める。
「もう一度だけ聞いてやる。お前は奴隷でそれは奴隷ではない。
それはお前の持ち物だ。間違いはないな?」
「その通りでございます」
「兄様!違います!私達を2人共奴隷として扱って下さいませ!」
「この者の申します事はお聞きにならないで下さい。
自分が何を言っているのか分かっていないのです」
抗議の声を上げる弟王子を見ないで兄王子は商人達に言った。
商人頭がニヤニヤ笑って問う。
「我々はどちらでも良いのだぞ。お前達はどちらも綺麗な顔をしているから
高く売れるだろう。2人一緒とは行かぬがな」
「奴隷は私だけでございます」
「違います!兄様!」
「黙れ!」
今まで聞いた事がない兄王子の大声に弟王子は竦み上がった。
「お前は奴隷がどういう物か全く分かっていないのだ!
2人共に買われる保証などどこにも無いのだぞ!」
弟王子は言葉も無い。
「お前は私と離れて、どことも知れない土地で生きて行けると言うのか!
それが出来ないのなら軽々しく『奴隷』等と口にするではない!」
凛とした口調に商人頭が目を見張る。
「お前、顔立ちに品があると思ったが。もしや遠国の貴族の子か?
海の近くには黒耀石の髪に翡翠の瞳の民が住むと言うが」
兄王子は答えない。王族であるなど知られればただでは済まない。
弟だけでも生き延びさせるには不用意な発言をする訳に行かなかった。
黙りこくる兄王子に商人頭はニヤッと下品な笑みを見せた。
「まあいい。いい家に生まれたとしても今のお前達に出来るのは
不運を嘆く事だけだからな。贅沢な生活には戻れないと思え」
贅沢どころではない。彼らの国は既に亡いのだ。
兄王子が唇を噛んだのをどう思ったのか、商人頭は愉快そうに笑った。
「とっとと新しい生活に慣れた方が身の為だぞ」
兄王子は答えない。
「ふん。まあいい。ところでその子供は奴隷では無く、
お前の持ち物という事でいいのだな?」
「然様でございます」
「お前はその子供を何の為に侍らせているのだ?」
「・・・?」
「見た所力仕事も出来まい。そのような顔が良いだけの子供が
何の役に立つと言うのだ?」
兄王子は商人達の計略に陥った事を知った。
兄弟が離れ離れにならない為に偽らなければならない関係を知った。
「これは、・・・私の、玩弄物でございます」
「それなら証明して見ろ。今ここで」
商人達の見守る中兄王子は弟王子に近付いた。
いつもは優しく抱き締める腕で弟王子の衣服を剥ぎ取る。
「兄様」
「黙っていろ。すぐに済む」
目を合わせないままの兄王子に弟王子が身を捩って逃げようとする。
その抵抗を許さないで兄王子は弟王子の顔を捕らえて口付ける。
いつもの家族のキスではない、乱暴なキス。
弟王子が腕を振り上げるが殴る勇気は出せない。
キスを首筋に移しながら腕を掴んで後ろに回し、脱がせた衣服で縛り上げる。
「貴族共が腐っていると言うのは本当の話らしいな」
「兄弟でこんな事をしているとはな」
商人達の嘲りの声を聞かないように弟王子の身体を弄る。
何より愛する弟に聞かせたく無くて。
「兄様、許して・・・いや!」
怯えた小鳥のように身を震わせて首を降り続ける弟王子の涙を
舌で嘗め取る。
細い腕が僅かに日に焼けていた。幸せだった頃はミルク色だった肌が
何ヶ月も炎天下のキャラバンで色付き、衣服に隠れている所との
境目をクッキリ浮き立たせていた。
その境目に舌を這わせる。まるで焼けた肌の色さえも
拭い取ろうとするように。
「いや、やぁ、兄様あ、あんっ!」
伸びかけた髪を掬い首筋から耳を嬲ると、
覚えのない感触に弟王子が戦く。
「ほう」
「良い声で鳴く」
「なる程奴隷風情には勿体無い玩弄物だな」
愚弄の言葉を聞かないように兄王子は弟王子の身体に
没頭しようとする。未熟な性感を煽って弟王子が身体の快感に
溺れて何も聴こえなくなるように。
彼らを取り巻く蔑の目が見えなくなるように。
商人達の中から嘲る言葉が投げられる。
「床を汚すなよ」
「それでは何か、敷く物を・・・」
「奴隷の分際で贅沢を言うな。お前が全部嘗めてやればいいだろう」
それ以上言うのを諦めて兄王子は弟王子を床に横たえた。
胸を弄り腹を嘗め、弟王子の息が荒くなったのを見計らって
細い膝を割り開いた。
「いや、いやあああ!」
驚愕に悲鳴が上がる。
開かれた足の間に、未だ子供の姿の性器が縮こまっている。
王族は12歳で成人の儀式をして割礼を受けるのだが、
国が滅ぼされた時弟王子は11歳だった。
キャラバンと旅している最中に12歳になったが祝う国民はおろか
成人の儀式を何一つしてやれなかった。
太股の内側にキスをするとピクンと震える。
弟王子が身じろぐ度に体臭が兄王子の鼻を付く。
嫌悪感は湧かない。それより風呂にも入らせてやれない身の上が憐れで
兄王子は自らの舌で弟を浄めるように体中に口付けを送る。
はあはあと荒い息遣い。弟王子の肌が淡く染まり、汗が伝う。
それもくすぐったいのか喘ぎが徐々に甘く色を変えて行く。
いつしか、商人達も息を飲んで2人の子供が絡み合う様を見詰めていた。
「兄様、もうやめて・・・痛!」
兄王子が弟の性器を握り、皮を剥き下ろした。
ビクッと硬直する弟王子に構わず、そのまま銜えて嘗めずる。
「ああ、いや、いや、あ、あん、あああ・・・」
泣き過ぎて掠れた声で弟王子は尚も哀願する。
衝撃で舌を噛まないように、弟の口に指を入れ、
兄王子は容赦無く弟を追い上げる。
声も枯れ、息遣いだけで限界を伝える弟王子の目はもう何も見ていない。
彼らを囲む好色な目も何も見えていない。
囁き交わす声も聞こえていない。
あるのはただ、血を分けた兄から与えられる、苦しい程の快感。
「っは・・・っっ!」
ビクン、ビクンと腰が跳ねる。兄王子が顔を離すより早く
弟王子が口の中に射精した。
「ぐ、っ」
「出すなよ」
冷徹な声が飛んだ。商人頭が兄弟を見下ろしていた。
「一滴でも床に零して見ろ。お前達2人共気を失うまで
棒で打つからな」
「半分飲ませてやれ。折角だからな」
兄王子が青ざめる。しかし反抗できず、まだ息を整えられない弟に
唇を合わせ、己が出した物を分け与えた。
「ちゃんと飲めよ」
野次が飛ぶ。弟王子は抵抗を忘れた人形のように、
飲ませ終わった後も兄王子の舌に吸い付いてチュウチュウと
音を立てて吸う。混乱して赤子に返ったかのようだ。
泣きたくなるのを堪えて抱いていると、フッと目の焦点が合った。
「あ・・・兄様」
突然弟王子の身体が硬直した。
「あ、いや・・・だめ、兄様、だめ・・・」
弟王子が狼狽したように性器を握り締めて身体を丸めた。
先刻までとは違う様子を訝しむ兄王子に
弟王子が消え入りそうな声で言う。
「だめ・・・出ちゃ・・・」
言葉の意味を理解した瞬間兄王子は弟の手を払い除けて
震える性器を銜えていた。
「いや、兄様、いや・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい」
兄王子の口の中でチョロチョロと尿が漏れ出す。
絶頂を極めた直後なので勢いはなかったが、
その分いつまでも長く続く排尿だった。
「は!変態もいいところだ!」
「全くだ。どっちがどっちの玩弄物か分からないな、これじゃ」
商人達の声が遠くに聞こえる。
それよりも、零してはいけない。弟を棒で打たせてはいけない、
それだけを思って兄王子は全てを飲み干した。
目尻に涙を浮かべながら飲み下していた。
そんな兄の姿を網膜に写しながら、弟もまた涙を流し続けていた。
11/07/13 13:54更新 / blueblack
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