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連載小説
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ミニウサギ・ナオのひそやかな冒険
 そとにあったの。いつもはそんなことないのに。
 ぼくのいちばんすきなタオルがね、ケージのそとにあったの。

 ぼくのケージ、おっきいの。トシノリが買ってくれたの。まえぼくがいたケージ、ちっちゃくって、すみっこの針金が折れまがってるとこがあって、ぶつかると痛かったの。そんでね、ここにきたつぎの日かそのつぎの日くらいに、トシノリがすごくおっきいの買ってくれたの。なかで走れるんだよ。
 でね、ぼく寝るときとかにタオルがほしいの。ふくふくしてるの。まえのうちからもってきたタオルなの。それがそとにあったの。たぶん、コウがぼくそとに出してくれたときにいっしょに出して、それでなかにしまうの忘れたんだと思う。
 でね、ねむたくなってタオルさがしたら、ケージのなかになかったの。だからぼく、タオルとってよう、って鳴いたんだけど、トシノリもコウもとなりの部屋いっちゃってたの。さっきぼくがコウかんだから、コウおこっちゃってたのかもしれない。
 それでケージのとびらのとこに鼻つっこんでくふくふ言ってみたんだけど、聞こえなかったみたい。
 ぼくのいちばんすきなタオルなの。
 それでケージかりかり噛んでたの。したら開いたの。
 ううん、いつもはそんなことない。えっとね、かけがねがついてんの。かちってとめたら、ぼくの頭ぎゅーっておしつけてもあかない。でもなんか開いたの。なんでかわかんないけど。ちゃんととめてなかったのかな。
 それで開いたんだけど、ぼくそとに出ていいのかなってちょっと考えたの。だってそとこわいんだもん。いつもはトシノリが手だしてくれるから、トシノリの手にのっかったらひざのうえとか運んでくれるの。トシノリの手、すっごくきれいなの。知ってる?
 あのね、指がきれいなの。そんでね、やらかいの。ぼくのことなでてくれるときとかね、すっごくやらかくて、きもちいいの。ぼくの耳たれてるでしょ。それもちあげてね、うらがわさすってくれるの。耳のつけねとか首のまわりとか毛皮のたるんでるとことか、いつもトシノリね、ブラッシングしてくれるまえに、手でなでてくれるの。すっごい、きもちいい。トシノリが両手おわんのかたちにすると、ぼくすっぽりはいるの。ときどきトシノリそのまんまぼくのことおだんごって丸めてあそぶんだけど、すっごいやらかいの、手のひらとか手のなか。だからすっごくきもちいいの。
 トシノリねえ、さわるときの力わかってんの。コウとか、ときどき力つよすぎたり弱すぎたりするんだけど、トシノリはいつもいちばんきもちいい強さなの。ぼくのことさわるときとかなでるときとか。手、すっごくやらかいけど、なでる力がちょうどよくってきもちいいの。
 えっとね、なんの話だったっけ。そう。だからね、そのときはトシノリの手なかったから、ちょっとこまったの。出てくのこわくて。でもタオルないと寝られないからそとに出てみたの。
 タオルはすぐに見つかったの。んとね、壁ぎわにソファがあんの。ぼくの毛皮とおんなじ色のソファ。うん、さっきまでコウがすわってたとこ。そこのあしもとにあったの。コウが立ったときにおっことして、そんで忘れてたんだと思う。で、ぼくそこで寝たの。タオルひっぱって、くしゅくしゅってして、そこで寝たの。うん、ちょっとこわかった。でもね、トシノリいるときは、よくケージから出してくれてたから、だからなれてたからだいじょぶかなって。

 しばらくして、となりの部屋でかたんかたんって音がしたの。ぼくそれで目がさめて、あー、ケージにもどりたいなって思ったの。でもタオルそとにあるし、どうしようかなってまよってて、したらとなりの部屋のドアあいてトシノリが出てきたの。ふんづけられたらやだから、ぼく、たーって走ってソファのむこうっかわにかくれたの。トシノリだけ、出てきたのは。んとね、バスローブはおってた。あのほら、いつも着てるやつ。
 トシノリ、ソファにすわって、ちょっとぼーっとしてた。でもトシノリときどきそういうことあるから。なんか考えごとしてたり。

 ううん、トシノリぼくとよくあそんでくれるよ。おしごとからかえってきたら、よくケージから出してくれる。ブラッシングとか、あ、あとね、ぼくすっごいすきなのが、トシノリがだっこしてくれてね、ぼくのあたまのうしろんとこに口つけて、ぷーってするやつ。あっついの。でもきもちいいんだから。それとね、トシノリときどきほっぺすりすりするの、ぼくのおなかに。それもきもちいい。トシノリね、指だけじゃなくって、鼻でぼくのことつんつんすることもあるよ。すりすりってするよ。
 ごはんもね、いつもはかりかりしてるやつなんだけど、まえにぼくびょうきしたとき、それくだいて水にまぜてね、ちょっとずつくれたんだよ。えとね、はじめはちっちゃいおさじにすくってくれたのね、でもぼく食べらんなくって、したら水もっといれてどろどろにして、ゆびにつけて、ぼくの口にいれたの。むりやりじゃないよ。だってもうかたっぽの手、ぼくのことなでてくれてたもん。で、ぼく、ちょっとずつなめた。だから時間かかったの。でもトシノリ、おしごとやすんでくれたの。

 えっと、トシノリはそいでソファにすわってて、ちょっとしてからコウも出てきた。うん、コウもバスローブ。まえあいてた。
 コウってね、いつも下むいてんの。あるくときとかも。だからよくつまづいたりとかしてる。トシノリのことこわいんだと思う。だってぼくもそうだったもん。はじめてここ来たとき。
 はじめてここ来たとき、ぼくすっごいこわくて、トシノリのことよく噛んだの。でもトシノリぜったいぼくのことおこったりしなかったもん。ぼくが噛むとね、そーっとぼくの口とかね、耳んとことか指でさすってくれたの。叩いたりしなかったの。でもいつも手がぜったいやらかかったから、噛まないでいいってわかってきたの。このごろ。
 でもコウはきっとまだトシノリのことこわいよ。いっつもそーっとそーっとトシノリのあとついてくみたいにしてるもん。

 そいでね、トシノリが立ってって、コウになんか言ってね、うでつかんだの。
 えっと、トシノリよかコウのがちょっと背たかいでしょ。だからトシノリがちょっとだけ背のびして、コウもすこしかがむみたいにして、そんでトシノリがコウの口なめたの。ううん、トシノリはぼくの口なめてくれたことない。だからわかんないけど、コウたぶんまだこわいんだよ。びくってしたもん。いつもやってんのにね。
 ぼくだったらこわくないよ、きっと。こわいかな。わかんない。
 それからトシノリがコウの頭に手かけてひっぱって、コウの目なめてた。まぶたんとこ。コウ泣いちゃってたんじゃない? コウよく泣くよ。いっつも泣いてる声、聞こえるもん。ふたりで部屋はいってるとき。
 それからふたりしてソファにすわって、なんかおはなししてた。トシノリがコウのことなでてあげてて、コウがまた、なんかときどき泣いてたみたい。
 ぼく、またねむくなっちゃって、で、タオルがむこっかわにあったの思いだしたの。どうしよっかなってちょっと考えて、でもふたりともすわってたからふんづけられないからだいじょぶって思って、ぼくタオルんとこ行ったの。コウがぼく見たみたい、びっくりしちゃったのかな、泣いてたのが止まって、目おっきくあけてぼくのこと見てたから。
 でもね、そのうちコウもねむくなっちゃったんだと思う。ソファにねてたもん。トシノリもいっしょになって、あのソファおっきくないのにね。ふたりしてあんなとこでねて。あ、でもコウはまだときどき泣いてた。
 なにがそんなにこわいんだろ。トシノリそんなにこわくないのにね。
 ぼくだったらぜんぜんこわくないよ。

 そのあと? しらない。だってぼくもねちゃったもん。タオルんとこ行って。

 それだけ。
11/07/13 18:39更新 / blueblack
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