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亡国の兄弟王子が奴隷に売られて商人達の前でのプレイを強要されるシチュ

花と歌の港と呼ばれていた。
海に面していた母国は貿易が盛んで、
質の良い銀を産出する銀山があった為小さいながらに豊かで
国民の信頼を得た王に統治され隣国から強力な軍隊によって護られ、
母国に生を受けた者は野良犬の一匹に至るまで不自由のない
生活を送れる事が約束されていた。
軍部が寝返るまでは。

クーデターを計画した軍部は隣接する三つの国と手を組み
王家から権力の奪回を目論んだ。
しかし土壇場に隣国に裏切られ、軍の上層部は死罪となった。
後ろ楯を失った母国は三国によって引き裂かれ、
王は死罪、王妃は幽閉され、ここに小さく平和なおとぎ話に出て来るような
楽園王国の歴史は幕を閉じた。

キャラバンは砂漠を越えて旅する。
商人達が取り扱う品は宝飾品、絹織物、そして何より、奴隷。
奴隷は若ければ若い程高く売れる。
洗脳しやすく、長い期間使えるからだ。
鎖に繋がれた7、8人の中でも一段と小柄な2人がいた。
彼らが元王子である事を知る者はいない。
処刑は免れたものの兄弟揃って売られ、明日をも知れぬ身と成り果てた。
照り付ける日射しの中兄王子が弟を気遣って庇うように日陰を作ってやる。
弟王子もそれを知って、辛い顔を隠してニッコリ笑う。
2人の黒い髪は日射しを吸って熱く煮える。
少しでも涼しくしようとボロ布を頭から被り、
俯いて歩く足取りは病人の様に覚束無い。
16歳と兄王子はともかく弟王子は12歳。
子供の体力には過酷なキャラバンはまだ続く。

「兄様」
夜皆が寝静まった後が2人だけの時間だ。
「大丈夫か?足は浮腫んでいないか?」
兄王子が弟の両足をさする。
「平気です。兄様こそ」
健気な様子がいじらしい。
「私は大丈夫だ。もう休みなさい。明日もかなり歩くようだから」
身を寄せる弟を両手に抱き締めて眠る。

それから7日後、キャラバンは漸く砂漠を越え都に辿り着いた。
隊長が朝市の商人達と話を付け、荷の半分と4人の奴隷とが売られた。
その内2人が兄弟王子だった。

「お止め下さい!焼き鏝だけはお許し下さい!」
兄王子の悲痛な叫びが響く。その胸は既にはだけられ
鎖骨の下には赤黒い痛々しい奴隷印が捺されていた。
今、両脇を押さえられ、同じ焼き印を捺されようとしているのは弟王子。
兄王子はそれを何とかして阻止しようとしていた。
「お前達は未だ自分の身分が分かっていないようだな。
それだけ顔が良ければ、大方生まれた国では愛奴として
可愛がられていたのだろうが、この国には奴隷印の無い奴隷はいない」
商人頭が鏝の焼け具合を確認する。
「子供には辛いだろうがな。それがお前達の運命と思うがいい」
「お許し下さい!私は構いませんから弟だけは・・・!」
弟が涙に潤んだ瞳で兄を見詰める。
兄を庇いたいのだが舌を噛まないように猿轡をされていて口がきけない。
そんな兄弟の様子を無視しようとしていた商人頭に
居並ぶ商人の1人が耳打ちした。
聞いていた商人頭が好色そうな笑いを浮かべる。
「お前、これに印は不要と言うのか?」
先程までとは違う声の調子に兄王子は戸惑って床に擦り付けていた頭を上げる。
商人頭の目がギラついていた。
「奴隷には必ず奴隷印を捺すのがこの国の掟だ。
この子供が奴隷でないと言うのなら、これはお前の何だ?」
「弟でございます。たった1人の、血を分けた」
「それならば兄弟揃って奴隷と成るのが当然だろう」
「それだけはお許し下さい。私が奴隷とされるのは構いません」
「お前の弟が奴隷でないと言うからには理由がある筈。
奴隷には印を捺す。兄弟だろうが、親子だろうが、1人1人に。
しかし、奴隷の持ち物にまで印は捺さない。これはお前の持ち物という事か?」
兄王子は最初商人頭の言う事が飲み込めなかった。
「これは奴隷ではなく、お前の持ち物か?
そうだと言うなら奴隷印は捺さないでやろう」
しかし唐突に意味を理解し、屈辱に顔を歪める。
何よりも愛する弟王子を人間扱いされない奴隷より更に下に置けと言うのだ。
弟王子を見ると悲しみに満ちた目が見詰めていた。
──兄様。私は大丈夫ですから。
──奴隷印ごときで私達が穢される事はありません。
──こんな奴等の言うなりにならないで下さい。
しかし兄王子は負けた。
弟の白い肌に傷を残す事は堪えられなかったのだ。
「それは、私の持ち物でございます。
どうぞ、奴隷印はお許しを給いたく・・・!」
「いいだろう」
商人頭の言葉に弟王子を押さえ付けていた男達が手を離した。
ふらつく弟王子を兄王子が支える。
猿轡を解くと弟王子が堰を切ったように泣き出した。
「兄様、兄様!」
抱き合う兄弟を冷たい目が囲む。商人頭が言った。
「それがお前の持ち物だと言うのなら証明して貰おう」

抵抗する暇も無く兄弟王子は広間に連れ出された。
何ヶ月振りかに敷物を敷い
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