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貴族が奴隷の少年に幾晩もかけてアニャール調教

「一番端の黒髪の子は売り物か」
背の高い男に問われて商人は素早く相手の風体を観察した。浅黒い肌はこの地方では珍しい。節張った指は労働者のようだったが、服の生地は高価な物で、腰に差した刀の柄には宝石が埋め込まれている。恐らく金で爵位を買った成り上がり者だろう。金を持っていそうだと見当を付けると、勿体ぶって答えた。
「あれは少々事情がありまして。何の訓練も致しておりません」
「そのほうがよほど都合がいい」
男の答えに商人はほくそ笑んだ。性奴を買う客は2種類に別れる。手練手管を教え込まれた者を買いたがる客と、殆ど何の訓練もされてない者を買いたがる客だ。この男のように自分に自信がある事を隠そうとしない客は後者の事が多い。
「その子を貰おう」
他の奴隷達とは別の柱に繋いであった黒髪の少年は、本来この市で売る予定では無かった。顔も身体も極上なので、宮殿へ連れて行って王に買わせようと思いのけてあったのだ。
しかし、考えて見れば、王族は逆に良く訓練されて洗脳された性奴を好む事が多い。自らの手で1から仕込むよりも美術品の様に完成された物の方が高く売れるかも知れない。それに16才という年齢もギリギリだ。それなら今ここでこの男に売ってしまった方が得になる。
商人は素早く計算をして男に答えた。
「宜しゅうございますが、一つ条件がございます」
「何だ」
「あれの傍らにおります、小さい子供も共にお連れ下さいませ」
「あのチビか。俺の趣味ではないが」
「いえ、あの子供はあれの弟にございます。引き離すと、気が触れたようになりますので」
「ふん、かまわん」
「では…」
商人の示した額に金貨を数枚上乗せして男は黒髪の少年を買った。何もかも諦めたような目をした少年は、それでも男が近付くと一瞬身体を逸らせて逃げようとする素振りを見せた。それからハッと顔を強ばらせて逃げようとした自分を叱咤する様に、大人しく男の無骨な手に身体を触れさせた。未だ成長途中の少年の未熟な肌は、男の手の下で青い実のように固く震えた。

黒髪の少年は荷物のように弟ごと抱えられ、馬の背に括り付けられた。

照り付ける陽光が色を変える頃にやっと馬は歩みを止めた。途中2度程革袋から水を含まされたが、それでも2人の子供はぐったりとして、馬から下ろされても自分達の力では歩く事も出来なかった。男は軽々と小さな身体を抱き上げ、目の前の石造りの家へ入って行った。
外からは古めかしいばかりの家は、中に入るとひんやりと心地よく、少年はホッと肩を下ろした。日に照り付けられて剥き出しの肌がヒリヒリ痛み始めていたのだ。
調度品は数多くは無かったがいかにも高価そうで、しかも一見そうと見せない品の良さがある。少年は弟を抱き寄せながら注意深く部屋の中を見回した。出入り口は彼らが入って来た所だけのようだ。
逃げる事は不可能だろう。
これからの身の上も知れず、今はこの男の奴隷として暮すより他に生き延びる道は無い。
少年の悲愴な決心を知ってか知らずか、男はグイと子供の顎を掴んで顔を自分に向けさせ、マジマジと覗き込んでから言った。
「ホコリまみれで見られたもんじゃないな。とっとと湯を使って来い」
少年は首を傾げて見せた。
「言葉も解らんのか。こっちだ」
男は少年の腕を引き摺り湯殿へ向かった。もうもうと立ち篭める湯気にむせそうになる。男は少年と弟を引き離すと、少年にコッソリ耳打ちした。
「俺の手で隅々まで念入りに洗ってやってもいいが、楽しみは後迄取っておく趣味なんでな。自分でやれ。終わったら弟は寝所へやって良い。寝所は湯殿を出てすぐ右の突き当たりだ。お前は広間へ戻って来い。━━━ああ、中までよく洗って置くんだぞ。指を突っ込んだ時に、糞のかけらでも付いて見ろ、ただじゃおかないからな。弟の目の前で全部ひり出させてやる」
言い捨ててさっさと湯殿を出た。

少年が湯殿を出ると、身にまとっていたボロ切れは無く、柔らかい絹の衣が2枚用意されていた。まず弟に着させる。萌える緑の衣は弟の目の色に良く似合う。
「お前はもうお寝み」
寝所を指差すと、弟は不安気に兄を見上げた。この頃随分口数が少なくなって、以前の様に無邪気に笑う事をしなくなった弟が哀れで、でもかけてやる言葉が見付からない。代わりに精一杯の思いを込めて、ニコッと笑ってやる。
「私は大丈夫だから」
少なくともあの男は、今迄彼らをいたぶった男達や奴隷商人の様に、兄弟共に嬲り物にしようという気はない様だった。それだけでも救いだ。弟だけは穢させたくない。
「早く行きなさい。行かないと私がいつまで経ってもあの男の所にいけない。お前は兄を棒で打たせたくないだろう?」
弟がハッとした様に兄を見上げて、目を涙で潤ませた。何か言いた気にしたが結局何も言わないで独りで寝所に向かった。
弟を見送って少年はもう一度湯
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