Date: Sat, XX Dec 1996 20:15:22 -0500 (EST)
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From: maki@introlink.com (Maki Taka)
Subject: 4.5th Letter from Canada (Special Edition)
X-Mailer: Eudora-J(1.3.8.5-J13)
Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp
こんちは、まきまきです。
今回は番外編なんですけど、どこがどうちがうか気づいたひと、いるかなあ。
そう、いつものリストのうち、今回のお手紙は女性陣にしか出していないのであった。ふふふ、殿方にはあんまり聞かれたくない話、というのも世にはありますので。といっても、さほどろっぽい話というわけでもありませんけども。
いやー、まきまき、まだ入院しているんですが、このごろ、はずかしながら、ダンナとのキスにえらく感じてしまうのよー。どういうもんなんでしょうね。やっぱり夜のほうがないからなのかな?
まあ私、初恋の相手と結婚してしまったという経歴のもちぬしで、ダンナ以外に男しらないもんで、突拍子もないこと言うのかもしれないけど、まず、あんまりそういうふうに欲しいとか思ったことがそもそもないのだわ。でも、このごろやっとそういう気もちがすこーし、わかったような気がする。いとおしい、っていうの? せつない、とかくるおしい、とかもあるかな。いつも、これがさいごかな、って思いながらキスしてるからかな? キスだけで濡れてくる、っていうけど、あれが、肉体的なもの以上の意味をもっていることが、はじめてわかった。
離れたくない離れてほしくない、っていうのがね。
あのね、動物は死期を悟るっていうでしょう。人間もあるていどそうだと思う。すくなくとも私は。まいにちまいにち何千何億かずつ、細胞の死んでゆく音が聞こえる気がする。なんかね、体のどっか奥のほうで、ものすごいいきおいで、なにかがおっこちてゆくみたいな感覚がある。ぜーんぶ落ちてしまったらおしまいだな、って思うの。
ダンナといるとね、その音が聞こえなくなる──っていうと嘘だな、なんていうんだろ。抱いててもらうと、体のぬくもりとかね、そういうのが、私の体のなかの、死んでゆく細胞とけんかしているみたいに感じられるの。ひきずりあげてくれるみたいな。
えっのろけだろうがって? そのとおり(ふふん)。
倦怠期のみなさまも、ちっと病気してみることをおすすめします(おいおい)。ダンナが意外と献身的だったりして、あたらしい発見があるかも。ほんっとーに新鮮だよん。キスだけじゃなくて、体じゅうの感覚がものすごく鋭敏になってねえ、病室のまえをすぎてく靴音とか、まわりのいろんな音とか、あたらしいシーツが肌にふれる感触とか、いろんなものがいつもあたらしい。
そうやって、ひょいとダンナの顔みてごらん、ちょっとしたひょうしで、横顔が、知らない人間みたいに見えるから。私、こういう表情する人間とずっと暮らしてたんだっけ? とか思ったら、ちょっとどきどきするよ。
んでは今回はここまで。
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maki@introlink.com (たかざわ まき)
「え、ここらで一杯、熱いお茶と新しいPowerBookがこわい。」
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